新NISAでも米国株の配当は10%取られる|50代が知らないと損する「二重課税」と外国税額控除のリアル【2026年最新】

NISA・つみたて投資

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「新NISAは配当も値上がり益もぜんぶ非課税と聞いていたのに、米国株の配当には税金が引かれていた…これって何かの間違い?」——VYMやSPYDなどの米国ETFを新NISAで買い始めた50代の方から、こんな声をよく聞きます。実は新NISAでも、米国側で引かれる10%の税金(源泉徴収)だけは非課税にならず、しかも取り戻せないのが現在の制度です。これは「二重課税」と「外国税額控除」という仕組みを知っているかどうかで、手取りに差が出るポイント。本記事では、なぜ新NISAでも米国の10%が引かれるのか、課税口座(特定口座)との違い、そしてオルカンやS&P500の投資信託なら気にしなくていい理由までを、図解で整理します。

はると
はると
新NISAで米国の高配当ETFを買ったんですけど、配当の入金額が思ったより少なかったんです。非課税のはずなのに、なんで減ってるんだろう…?計算ミスかなと思って何度も見直しちゃいました。
ヒロ
ヒロ
私も最初は「あれ?」と思ったよ。実は新NISAで非課税になるのは「日本の税金」だけで、米国で先に引かれる10%は別なんだ。ここを知らずに「NISAなら配当まるまるもらえる」と思い込んでいると、ちょっと拍子抜けするんだよね。
さくら先生
さくら先生
大事なところね。米国株の配当は「米国」と「日本」の両方で課税される二重課税が起こりうる。課税口座なら確定申告で調整できるけれど、NISAは事情が違うの。データを見てから話しなさい。まず仕組みから整理しましょう。

結論:新NISAでも米国の10%は取り戻せない。でも口座全体では非課税が有利

先に結論をお伝えします。米国株の配当と新NISAの関係で押さえるべきポイントは次の3つです。

米国株配当 × 新NISAの結論:
  • ① 新NISAでも米国の10%は引かれ、取り戻せない:日本の税金(20.315%)は非課税になるが、米国側で先に引かれる10%は非課税の対象外。しかもNISAでは外国税額控除が使えないため、確定申告しても戻ってこない
  • ② それでも口座トータルでは新NISAが有利:課税口座だと米国10%+日本20.315%で手取りが大きく減る。新NISAは日本分が丸ごと非課税なので、最終的な手取りは課税口座より多くなりやすい
  • ③ オルカン・S&P500の投信なら基本は気にしなくていい:無分配で再投資するインデックス投信はファンド内で処理され、投資家が確定申告や控除を意識する必要は原則ない

つまり「新NISAでも10%引かれて損だ」と早合点する必要はありません。非課税のメリットは依然として大きいのです。ただし「米国ETFを直接買う人」と「投信で積み立てる人」では事情が変わります。順番に見ていきましょう。

そもそも「米国株配当の二重課税」とは何か

米国株や米国ETF(VYM・HDV・SPYDなど)から配当を受け取ると、まず米国で10%の税金が源泉徴収されます。そのうえで、課税口座(特定口座・一般口座)の場合は、日本でもさらに20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)が課税されます。これが、同じ配当に米国と日本の両方から税金がかかる「二重課税」の状態です。

下の図1は、配当100ドルを受け取ったとき、口座のタイプによって手取りがどう変わるかの目安です。

図1:米国株配当100ドルあたりの手取り比較(口座タイプ別)
図1:米国株配当100ドルあたりの手取り比較(当ブログ作成)
※2026年6月時点。米国源泉10%・日本20.315%で計算した単純な目安。外国税額控除の取り戻し額は所得等で変わり、全額は戻りません。

図1を見ると、新NISA口座の手取りが最も多い(約90ドル)ことが分かります。日本の税金が非課税なので、引かれるのは米国の10%だけ。一方、特定口座で何もしないと米国10%+日本20.315%で手取りは約70ドルまで減ります。ここで効いてくるのが、次に説明する「外国税額控除」という仕組みです。

新NISAだと外国税額控除は使えない|10%が取り戻せない理由

「外国税額控除」とは、外国で払った税金を日本の税金から差し引いて、二重課税を調整する仕組みです。課税口座であれば、確定申告でこの控除を使い、米国で引かれた10%の一部を取り戻せます。

ところが新NISAではこの外国税額控除が使えません。理由はシンプルで、外国税額控除は「日本でも税金がかかっている(=二重課税が起きている)」ことを前提に、その重複分を調整する制度だからです。新NISAは日本の税金がそもそもゼロなので、「調整すべき二重課税」が存在しないとみなされ、控除の対象外になるのです。

ここがポイント(NISAの落とし穴):
  • 新NISAで非課税になるのは「日本の税金」だけ。米国の10%は非課税の対象外
  • NISAは日本で非課税=二重課税ではないため、外国税額控除は使えない
  • 結果として、米国の10%は確定申告しても取り戻せず、そのまま負担になる

この「取り戻せない10%」は1回あたりは小さく見えますが、長期で米国ETFを直接保有し続けると地味に積み上がります。下の図3は、残高1,000万円・税引前配当利回り2%という一定の前提で、20年間に受け取る配当の累計を比べた目安です。

図3:取り戻せない10%が20年でどれだけ積み上がるか
図3:取り戻せない米国10%源泉税が20年でどれだけ積み上がるか(当ブログ作成)
※残高1,000万円・税引前配当利回り2%が一定と仮定した単純モデル。実際の利回り・株価・為替は変動します。

図3のように、取り戻せない10%は20年で約40万円(1,000万円あたり・目安)の差になります。金額として「致命的」というほどではありませんが、知らずに放置するのと、仕組みを理解して口座を選ぶのとでは差が出るのは事実です。とはいえ「だからNISAをやめよう」という話ではありません。日本分が非課税のメリットのほうがずっと大きいからです。

はると
はると
えっ、そうなんですか!?NISAは「全部非課税」だと思ってたけど、米国の分だけは別なんですね。でも課税口座より手取りが多いなら、結局NISAで持つほうが得ってことか…!

課税口座(特定口座)なら外国税額控除で取り戻せる

では、新NISAの枠を使い切ってしまい、米国株を課税口座(特定口座)で持つ場合はどうなるのでしょうか。この場合は二重課税が実際に起きているので、確定申告で外国税額控除を申請すれば、米国で引かれた10%の一部を取り戻せます。図1の一番下「特定口座(外国税額控除あり)」がそのケースで、手取りが約70ドルから約80ドル近くまで改善しています。

どの商品をどの口座で持つと米国の10%を取り戻せるのか、早見表にまとめたのが下の図2です。

図2:米国10%源泉税は取り戻せるか 口座×商品 早見表
図2:米国の10%源泉税は取り戻せる? 口座×商品 早見表(当ブログ作成)
※「二重課税調整制度」は国内籍の投資信託・ETFが分配金支払時にファンド内の外国税を自動調整する仕組み(2020年〜)。

外国税額控除には所得に応じた上限(控除限度額)があり、払った10%が必ず全額戻るわけではない点には注意が必要です。また、控除を受けるには確定申告の手間もかかります。とはいえ、課税口座で米国ETFをまとまった金額で持っている方にとっては、申告する価値のある制度です。確定申告では配当の取り扱い(申告分離課税・総合課税の選択)も絡むため、自分のケースで迷うときは税理士やFPに相談すると安心です。具体的な手続きは国税庁の公式サイトでも案内されています。

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投資信託(オルカン・S&P500)なら気にしなくていい理由

ここまで「米国の10%」の話をしてきましたが、オルカンやS&P500などの投資信託(無分配で再投資するインデックス型)で積み立てている人は、この問題を基本的に気にする必要がありません。理由は2つあります。

① 分配金を出さないので投資家レベルの手続きが不要

eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)やeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)といった人気のインデックス投信は、原則として分配金を出さず、ファンド内部で配当を再投資します。投資家の口座に配当が振り込まれない=投資家が確定申告や外国税額控除を意識する場面がないのです。ファンド内部での米国課税の処理はすべて運用会社が行います。

② 「二重課税調整制度」でファンド側が自動調整

2020年から始まった「外国税額の二重課税調整制度」により、国内籍の投資信託・ETF(東証上場のものなど)は、分配金を支払う際にファンド内の外国税を自動的に調整してくれるようになりました。つまり、分配金を出すタイプの国内投信・ETFでも、二重課税の調整は制度として自動的に行われる仕組みが整っています。投資家が個別に申告する負担はぐっと減っています。

このため、「税金の手続きはなるべくシンプルにしたい」「米国の源泉税まで気にしたくない」という50代の方は、米国ETFを直接買うより、オルカンやS&P500の投信で積み立てるほうがラクです。オルカンとS&P500の使い分けはオルカンとS&P500、50代が選ぶならどっち?で詳しく解説しています。

さくら先生
さくら先生
「配当を自分の手で受け取って使いたい」なら米国ETFや高配当株、「手間なく資産を増やしたい」なら無分配の投信。目的によって最適な商品は変わるのよ。税金の取り扱いも、その選択の一部として考えなさい。

50代はどう使い分けるべきか|実践の考え方

ここまでを踏まえ、50代が実践で意識したいポイントを3つに整理します。米国の10%にとらわれすぎず、「何のために投資するのか」を起点に商品と口座を選ぶのが基本です。

① 配当を「使いたい」なら新NISA+米国ETF/高配当株

定期的に配当を受け取って生活の足しにしたい人は、新NISAの成長投資枠で米国の高配当ETFや高配当株を持つのが王道です。米国の10%は取り戻せませんが、日本分が非課税になるメリットのほうが大きく、課税口座より手取りは多くなります。具体的な銘柄選びは米国高配当ETF徹底比較|VYM vs HDV vs SPYDを参考にしてください。

② 手間なく「増やしたい」なら無分配のインデックス投信

配当を使う予定がなく、とにかく資産を効率よく増やしたい人は、オルカンやS&P500の無分配インデックス投信が向きます。税金の手続きを意識せずに済み、ファンド内で自動的に再投資されるため複利も効きやすい。配当再投資による複利の威力は配当再投資の威力|50代の新NISAで複利効果を最大化するでも解説しています。

③ NISA枠を使い切ったら課税口座は外国税額控除を忘れずに

新NISAの1,800万円枠を埋めて、なお米国ETFを課税口座で買い増す段階の人は、確定申告で外国税額控除を活用しましょう。図1で見たとおり、申告するかしないかで手取りが変わります。NISAと特定口座の役割分担は50代の特定口座→新NISA 乗り換え戦略も合わせてどうぞ。

体系的に学びたいなら入門書から

配当投資や米国株の長期保有の考え方を一冊で学びたい人には、ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』が定番です。配当の再投資が長期リターンに与える影響を、データをもとに丁寧に解説しており、配当を軸に資産形成を考える50代の土台づくりに役立ちます。

参考になる一次情報

👉 主要ネット証券5社(SBI・楽天・マネックス・松井・auカブコム)をまとめて比較したい方は 【2026年最新】ネット証券おすすめ比較ランキング|5社徹底比較 もご覧ください。

まとめ:仕組みを知って「商品×口座」で選ぶ

本記事のポイント:
  • 新NISAで非課税になるのは「日本の税金」だけ。米国株配当の米国側10%は非課税の対象外
  • NISAは日本で非課税=二重課税ではないため、外国税額控除が使えず10%は取り戻せない
  • それでも日本分が非課税になる分、口座トータルの手取りは課税口座より多くなりやすい
  • 課税口座(特定口座)なら確定申告の外国税額控除で米国分の一部を取り戻せる(全額ではない)
  • オルカン・S&P500の無分配インデックス投信なら、ファンド側で処理され投資家の手続きは原則不要
  • 配当を使うなら新NISA+米国ETF、手間なく増やすなら無分配投信、と目的で使い分ける

「新NISAでも米国の10%は取られる」と聞くと損した気分になりますが、仕組みを正しく知れば慌てる必要はありません。大切なのは、自分が配当を使いたいのか・増やしたいのかという目的をはっきりさせ、それに合った商品と口座を選ぶこと。米国ETFを直接持つなら新NISAで非課税メリットを活かし、手間を避けたいなら無分配の投信を選ぶ。税金の知識は、こうした選択を後押ししてくれる味方です。焦らず、自分に合った形で一緒にコツコツ資産形成を進めていきましょう!

※本記事は2026年6月時点の公開情報・税制を基にした一般的な情報提供であり、特定の金融機関・商品や投資手法、税務上の判断を推奨するものではありません。税率・制度・控除の取り扱いは改正される可能性があり、外国税額控除の取り戻し額は所得等により異なります(払った税額が全額戻るとは限りません)。記載の数値は一定の前提を置いた目安・イメージであり、将来の成果や特定商品の実数値を保証するものではありません。具体的な税務・投資判断にあたっては、国税庁等の最新の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士・FP等の専門家にご相談ください。投資には元本割れのリスクがあります。

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ヒロ
この記事を書いた人|ヒロ(運営者)

投資歴7年・51歳の現役会社員。老後の相棒に選んだ日本株96銘柄(“相棒株”)を実名で全公開し、eMAXIS Slim S&P500は+176%、子のジュニアNISAは元本の約2.9倍(+188%)を実データで公開しています。「50代からでも、新NISA×高配当株で“もう1本の収入の柱”は作れる」を、机上論ではなく自分の運用実績で発信中です。

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