新NISAで「先進国株式(日本を除く)」を買おうとすると、必ず横並びで出てくる2本があります。eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本)とニッセイ外国株式インデックスファンド<購入・換金手数料なし>。ところが数字を並べると、ベンチマークも信託報酬(年0.09889%)も直近1年のトータルリターン(+27.87%)も、まったく同じでした(2026年8月26日時点)。ここまで同じだと、逆に迷います。



📑 目次
結論:中身はほぼ同一。差がつくのは「実質コスト」と「どこで買うか」
先に結論をお伝えします。
- ベンチマークは両方ともMSCIコクサイ・インデックス。中身の銘柄は事実上同じで、値動きもほぼ重なる
- 信託報酬は年0.09889%で完全に同額。直近1年のトータルリターンも+27.87%で一致
- 差がつくのは「実質コスト(総経費率)」で、eMAXIS Slim 約0.124% vs ニッセイ 約0.133%。差は約0.009ポイント
- 1,000万円を20年置いても差は約1.8万円(月75円)。この差で消耗するくらいなら早く始めたほうが得
- eMAXIS Slimには「受益者還元型信託報酬」がある。残高が増えるほどコスト率が下がる仕組み
- 実務上いちばん効くのは「どの証券会社で買うか」。投信の保有ポイントは証券会社ごとに大きく違う
- 純資産総額は約1兆3,816億円 vs 約1兆1,341億円。どちらも1兆円超で、繰上償還の心配はまずない
つまり、この2本の選択は「どちらかが正解でどちらかが失敗」という問題ではありません。それでも数字は見ておきたい、という方のために順番に確認していきます。
まず確認|この2本は何が「同じ」なのか
※トータルリターンは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
ベンチマークが同じ=中身の銘柄も同じ
どちらもMSCIコクサイ・インデックス(配当込み・円換算ベース)への連動を目指すインデックスファンドです。日本を除く先進国22カ国前後の株式、およそ1,200〜1,300銘柄程度で構成される指数で、時価総額の7割前後を米国株が占めます。
つまり「eMAXIS Slim 先進国株式を買う」と「ニッセイ外国株式を買う」は、ほぼ同じ株を同じ比率で買う行為です。名前が違うだけで、運んでいる荷物は同じだと考えて差し支えありません。
基準価額の差は「優劣」ではない
図1で基準価額が46,060円 vs 60,832円と大きく違いますが、これは設定日の差です。ニッセイのほうが2013年設定と3年以上早く、その分だけ値上がりが積み上がっているだけ。基準価額の高い安いは、投資信託の割安・割高とは何の関係もありません。この誤解は本当に多いので、ここだけは押さえておいてください。
唯一の差は「実質コスト」|信託報酬に載らない費用
※実質コストは直近の運用報告書等で公表された概算値であり、決算期ごとに変動します。
信託報酬は「合計」も「配分」もほぼ一致
信託報酬は運用会社・販売会社・信託銀行の3者で分け合います。その内訳まで見ると、eMAXIS Slimが委託0.038445%/販売0.038445%/受託0.022%、ニッセイが委託0.038225%/販売0.038665%/受託0.022%。合計はどちらも0.09889%で1円も違いません。値下げ競争を10年やり合ってきた結果、ここまで揃ってしまったわけです。
差が出るのは「その他費用」=隠れコスト
ただし投資家が実際に負担するのは信託報酬だけではありません。売買委託手数料・有価証券取引税・保管費用などが「その他費用」として基準価額から差し引かれています。これを合算したものが実質コスト(総経費率)で、運用報告書でしか確認できません。
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本):実質コスト 約0.124%(うち信託報酬0.09889%)
- ニッセイ外国株式インデックスファンド:実質コスト 約0.133%(うち信託報酬0.09889%)
- 差は約0.009ポイント。信託報酬が同じでも、隠れコストの分だけeMAXIS Slimがわずかに低い
- ただし実質コストは決算期ごとに変わる。順位が入れ替わる年もある
※数値は各ファンドの運用報告書における概算値です。集計期間・算出方法により差異が生じます。

eMAXIS Slimだけが持つ「受益者還元型信託報酬」
もうひとつ、表面の数字に出にくい構造的な違いがあります。
- 純資産総額が一定額を超えた部分について、段階的に低い信託報酬率が適用される仕組み
- eMAXISシリーズが採用しており、ファンドが大きくなるほど保有者全体のコスト率が下がる
- 適用されるのは「超過した部分」であり、いきなり全体が安くなるわけではない
- ニッセイ外国株式は、この仕組みは採用していない(そのぶん設定時から低コストを打ち出してきた歴史がある)
eMAXIS Slimは「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」と公式に掲げており、他社が値下げすれば追随してきた実績があります。「今日どちらが安いか」より「これから10年、下げ続ける意思があるか」で見るなら、この点はeMAXIS Slim側の優位です。
とはいえニッセイ側も過去に何度も信託報酬を引き下げてきた実績があり、実際その結果が「まったく同じ0.09889%」という現状です。どちらかが手を抜いているという話ではありません。
1,000万円・20年でいくら違うのか|答えは約1.8万円
※残高1,000万円・実質コスト率が期間中一定と仮定した単純計算の目安です。実際は基準価額の変動により負担額が増減し、実質コストも決算期ごとに変わります。
実質コストの差0.009ポイントを金額にしてみます。1,000万円を置けば年900円、20年でおよそ1万8,000円。月あたり約75円です。
- 缶コーヒー半分ぶんの差のために、どちらを買うか1週間悩む——これが最もよくある50代の失敗パターン
- その1週間、積立を止めていたなら、機会損失のほうがはるかに大きい可能性がある
- 参考までに、証券会社の投信保有ポイントは銘柄・時期により年率で数百分の一〜数千分の一の水準。この差のほうが大きくなることもある
- つまり「どちらのファンドか」より「どこの証券会社で持つか」のほうが金額インパクトが大きい場面がある
※保有ポイントの付与率は証券会社・銘柄・時期により大きく異なります。必ず各社の公式ページで最新条件をご確認ください。

本当の決め手|ファンドより「証券会社」で差がつく
この2本はどちらも、SBI証券・楽天証券・松井証券・マネックス証券をはじめ主要ネット証券で購入できます。つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも買えます。だからこそ、差は「どこで買うか」に移ります。
- ①投信の保有ポイント:残高に応じたポイント還元。低コストファンドは還元率が低めに設定されることが多いため、必ず対象銘柄と付与率を確認する
- ②クレカ積立の還元率:カードのランク・積立額により還元率が変わる。年会費との損益分岐点を先に計算しておく
- ③どちらの銘柄を取り扱っているか:ネット証券なら両方扱っているが、銀行・対面証券では片方しか置いていないことがある
保有ポイントの詳しい比較は投信の保有ポイントはどこが得?松井証券 vs SBI証券 vs 楽天証券で、クレカ積立の還元率は新NISAのクレカ積立はどれがお得?三井住友・楽天・マネックス・auペイ徹底比較で整理しています。ファンド選びで悩む時間を、こちらの比較に使ったほうが確実にリターンが大きい——これが正直な実感です。
なお、インデックスファンドの仕組みや信託報酬の考え方は投資信託協会の公式サイトに図解付きの解説があります。新NISAの対象商品の考え方は金融庁のNISA特設サイトで一次情報を確認できます。
50代への問い|そもそも先進国株式でいいのか
この2本で悩んでいる方に、あえて一段上の問いを投げます。「先進国株式(除く日本)」という選択自体が、50代にとって最適でしょうか。
- 日本株と新興国株が入っていない。全世界株式(オルカン)との最大の違いはここ
- 米国比率は7割前後。S&P500ほど米国一極ではないが、実質は米国株の影響を強く受ける
- オルカンとの過去の値動きの差は、思われているより小さい。新興国の構成比が1割程度にとどまるため
- 50代の判断軸は「先進国かオルカンか」より「株式に何割振るか」。ここを決めるほうが結果への影響が大きい
先進国株式とオルカン・S&P500の使い分けはオルカンとS&P500、50代が選ぶならどっち?で詳しく比較しています。株式と現金・債券の比率は50代の資産配分(アセットアロケーション)完全ガイドをどうぞ。
すでに持っている人へ|乗り換えるべきか
「ニッセイを積み立てているけれど、eMAXIS Slimのほうが実質コストが低いなら乗り換えるべき?」——結論は「乗り換えなくていい」です。
- ①新NISAの非課税枠は売却しても翌年まで復活しない。乗り換えのために売れば、その年の枠を使い直せない
- ②特定口座なら売却益に約20.315%の税金がかかる。月75円の差を取りに行って、数万円の税金を先払いすることになりかねない
- ③実質コストの順位は決算期ごとに入れ替わる可能性がある。追いかけ続けても意味がない
どうしても揃えたいなら、「これから買う分だけ新しいほうに切り替える」で十分です。すでに積み上がった残高は、そのまま置いておいてかまいません。非課税枠の再利用ルールは新NISAの非課税枠は売ったら復活する?「枠の再利用」ルールと簿価ベースの仕組みで解説しています。

この2本はベンチマーク・信託報酬・直近1年リターンまで一致し、差は実質コストの約0.009ポイントだけ。1,000万円・20年で約1.8万円(月75円)です。選ぶべきは「ファンド」ではなく「証券会社」と「株式に振る割合」——ここに時間を使ってください。
どちらのファンドも主要ネット証券で買えますが、これから口座を開くなら、ポイントサイトを経由するだけで開設分の還元を上乗せできます。実質コストの差「年900円」を何年ぶんも先に回収できる額になることも珍しくありません。
投資信託だけでなく、成長投資枠で個別株や米国株も自分で選びたい方には、銘柄分析ツールを無料で使えるマネックス証券という選択肢もあります。
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まとめ:迷った時間のほうが高くつく
- ベンチマークはどちらもMSCIコクサイ・インデックス。中身の銘柄も値動きも事実上同じ
- 信託報酬は年0.09889%で完全に同額。委託・販売・受託への配分までほぼ一致している
- 直近1年のトータルリターンも+27.87%で一致(2026年8月26日時点)
- 差がつくのは実質コストのみ:eMAXIS Slim 約0.124% vs ニッセイ 約0.133%。差は約0.009ポイント
- 1,000万円を20年置いても差は約1.8万円(月あたり約75円)。決め手にするには小さすぎる
- eMAXIS Slimには受益者還元型信託報酬がある。残高増加に応じて段階的にコスト率が下がる
- 純資産総額は約1兆3,816億円 vs 約1兆1,341億円。どちらも規模の心配は不要
- 実務上の決め手は「どの証券会社で買うか」。保有ポイントとクレカ積立の還元率のほうが金額インパクトが大きい
- すでに持っているなら乗り換え不要。非課税枠は売却しても翌年まで復活せず、特定口座なら課税もされる
50代の投資で本当に怖いのは、間違ったファンドを選ぶことではありません。「間違えたくない」という気持ちで手が止まり、始められないまま数年が過ぎることです。この2本に関して言えば、どちらを選んでも20年で月75円の差。それなら、今日決めて今日始めたほうがいい。一緒にコツコツやっていきましょう!
なぜ低コストのインデックスファンドが長期で有利になるのか——本記事で扱った「0.009ポイントの意味」を、投資の原則から理解できる古典です。細かい比較に疲れたときこそ、原則に戻ると判断が楽になります。
※本記事は2026年8月26日時点の各運用会社・投資信託情報サイトおよび金融庁の公表情報を基にした一般的な情報提供であり、特定のファンド・証券会社・金融商品の購入を推奨するものではありません。信託報酬・純資産総額・基準価額・トータルリターン・実質コスト(総経費率)は特定時点の実績値・概算値であり、将来の運用成果を保証するものではありません。実質コストは各ファンドの運用報告書における概算値で、集計期間・算出方法により差異が生じ、決算期ごとに変動します。コスト差の試算は残高一定・条件不変を仮定した単純計算であり、運用リターンや複利効果は考慮していません。投信の保有ポイント・クレカ積立の還元率は証券会社・銘柄・時期により大きく異なるため、必ず各社公式サイトで最新条件をご確認ください。新NISAの対象枠・対象商品および税制は変更される場合があります。投資信託は元本保証の商品ではなく、株価変動・為替変動により元本割れが生じる可能性があります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。








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