オルカンやS&P500でコア(土台)を固めたあと、多くの人が次に考えるのが「もう少し攻めの部分がほしい」という話です。50代なら「残り時間が短いぶん、一部は伸びる可能性の高いところに置きたい」と思うのは自然でしょう。
その入口で必ず名前が挙がるのが、iFreeNEXT FANG+インデックスとニッセイNASDAQ100インデックスファンドです。どちらも「米国のハイテク・グロース株に寄せる」という点は同じ。ところが中身を開けると、片方は10銘柄に等金額、もう片方は約100銘柄に時価総額加重という、まったく違う設計になっています。



📑 目次
結論:50代の攻め枠はニッセイNASDAQ100が基準、FANG+は上限を決めて足す
先に結論をお伝えします。
- 信託報酬はFANG+が0.7755%、ニッセイNASDAQ100が0.2035%。差は0.552ポイントで、これは「攻め枠のインデックス投信」としては小さくない差
- 直近1年のトータルリターンは+19.40% vs +30.00%。集中させたFANG+のほうが低かった
- 直近1年の標準偏差(値動きの大きさ)は23.70% vs 17.63%。FANG+のほうが大きく揺れた
- 中身はFANG+が10銘柄に各10%の等金額、ニッセイNASDAQ100が約100銘柄の時価総額加重
- 意外なことに、つみたて投資枠で買えるのはFANG+のほう。ニッセイNASDAQ100は成長投資枠のみ
- 純資産総額はFANG+が約1兆4,136億円、ニッセイNASDAQ100が約6,148億円。どちらも十分な規模
- 「攻め枠の中心」に据えるならニッセイNASDAQ100。FANG+は「上限を決めて足すスパイス」として使うのが50代には現実的
なぜこうなるのか、順に見ていきます。
数字を並べて比較|信託報酬・純資産・リターン・リスク
※過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。信託報酬・実績値・NISA対象区分は変更・変動します。
信託報酬は3.8倍の開き
FANG+が0.7755%、ニッセイNASDAQ100が0.2035%(いずれも税込・年率)。比率でいえば約3.8倍の差です。
オルカンやS&P500の主要ファンドが0.1%を切る水準まで下がったいま、0.7755%は「インデックスファンドとしては高め」に分類される数字です。ただしFANG+はNYSE FANG+指数という特殊な指数に連動するため、単純に「高いからダメ」とは言い切れません。問題は「その上乗せコストに見合う成果が出ているか」で、それは後段の実績で確認します。
純資産はどちらも十分
純資産総額はFANG+が約1兆4,136億円、ニッセイNASDAQ100が約6,148億円(2026年7月末時点)。どちらも繰上償還(ファンドが途中で強制終了されること)を心配する水準ではありません。
FANG+が1兆円を超えているのは、この数年で個人投資家の資金がかなり流れ込んだことを意味します。ただし「人気があること」と「自分に合っていること」は別物です。ここを混同しないようにしたいところです。
設定日の差=比較できる期間の差
見落とされがちですが重要な点があります。FANG+の設定は2018年1月31日、ニッセイNASDAQ100は2023年3月31日。ニッセイNASDAQ100はまだ5年の実績がありません。
そのため本記事では、両者を同じ土俵で比べられる「直近1年」の数字を軸にし、それより長い期間については指数の性格から考える、という進め方をします。データが揃っていないのに長期比較の順位をつけるのは、誠実な比べ方ではないからです。
中身の違い|10銘柄に等金額 vs 約100銘柄に時価総額加重
ここがこの2本を分ける本丸です。
FANG+=10銘柄に各10%
- 構成銘柄は10社。米国上場のテクノロジー・成長企業が中心
- 各銘柄をおおむね10%ずつの「等金額」で保有し、定期的に元の比率へ戻す
- 構成銘柄は定期的に見直され、入れ替わることがある
- アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、ネットフリックス、エヌビディアといった大型テック企業が名を連ねてきた指数
等金額方式には見逃せない特徴があります。値上がりした銘柄を定期的に売り、出遅れた銘柄を買い増すという動きが、指数の中で自動的に起こることです。「勝っている銘柄をそのまま伸ばす」時価総額加重とは逆の性格で、これが成績の差になって現れます。
NASDAQ100=約100銘柄に時価総額加重
- NASDAQ市場に上場する非金融の代表的な約100銘柄で構成
- 時価総額に応じて比重が決まるため、大きい企業ほど組入比率が高い
- 実態としては上位10銘柄前後で指数のかなりの部分を占める(比率は株価変動で常に変わります)
- テック中心とはいえ、小売・ヘルスケア・通信など幅広い業種も含まれる
つまりNASDAQ100も実は「上位に偏った指数」です。FANG+ほど極端ではないものの、S&P500やオルカンと比べれば十分に集中しています。

つみたて投資枠が使えるのはFANG+のほうという逆転
ここは知らないと損をする、実務上の重要な違いです。
- iFreeNEXT FANG+インデックス:つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも購入可能
- ニッセイNASDAQ100インデックスファンド:成長投資枠のみ。つみたて投資枠では買えない
「コストが安く分散も効いているほうがつみたて枠で買える」と思いきや、実際は逆です。FANG+は設定からの経過年数や純資産などの一定要件を満たしたことで、つみたて投資枠の対象商品に加えられました。一方でNASDAQ100連動ファンドは、つみたて投資枠が対象とする指数の枠組みに入っていません。
これが効いてくるのは「年間の枠をどう埋めるか」を考えるときです。つみたて投資枠120万円をすべてオルカンやS&P500で埋めている人が攻めを足したい場合、ニッセイNASDAQ100は成長投資枠を使うしかありません。逆にFANG+なら、つみたて投資枠の一部を割り当てるという選択肢が持てます。
成長投資枠で買えないものの見分け方は新NISA成長投資枠で”買えない”もの一覧で整理しています。なお対象商品は追加・除外されることがあるため、金融庁のNISA特設ウェブサイトで最新の対象商品リストを確認するのが確実です。
「集中させたぶん儲かる」とは限らない|直近1年の実績
※標準偏差は値動きの大きさを示す指標で、数値が小さいほど値動きが穏やかであったことを意味します。過去の実績は将来の成果を保証しません。
リターンは下、リスクは上
- トータルリターン:FANG+ +19.40% / ニッセイNASDAQ100 +30.00%
- 標準偏差(リスク):FANG+ 23.70% / ニッセイNASDAQ100 17.63%
- つまり「より大きく揺れて、より小さく増えた」1年だった
この1年に限れば、集中させたことが裏目に出ました。10銘柄しか持たないということは、そのうち1〜2社が不調なだけで指数全体が引っ張られるということでもあります。100銘柄なら、不調な数社の影響は薄まります。
ただし逆の年もある
公平にお伝えすると、FANG+が大きく上回った年も実在します。特定の巨大テック企業が市場を牽引する局面では、10銘柄に絞った指数のほうが素直に伸びます。FANG+の直近5年のトータルリターンは年率+27.50%(2026年7月末時点)という高い水準であり、この数字自体は非常に立派です。
ただし同じ期間の標準偏差は28.87%。年によっては3割前後の下落が普通に起こりうる値動きだということです。300万円入れていれば、1年で100万円近く減る場面があってもおかしくない——それが「集中」の代償です。

信託報酬0.55ポイントの差は20年でいくらになるか
※運用リターンを年率7%と仮定し、そこから信託報酬を差し引いて複利計算した「コスト差だけ」を見る試算です。実際のリターンは指数ごとに異なり、将来の成果を示すものではありません。
元本100万円・年率7%を仮定した場合
- 10年後:183万円 vs 193万円 → 差 約10万円
- 20年後:335万円 vs 373万円 → 差 約38万円
- 30年後:612万円 vs 719万円 → 差 約107万円
ポイントは「期間が伸びるほど差が加速する」ことです。10年なら10万円ですが、30年では100万円を超えます。コストは毎年、確実に引かれ続ける「確定した差」だからです。
ただし50代の時間軸では過大評価しない
とはいえ、50代が攻め枠に置くお金の想定期間は10〜15年程度というケースが多いはずです。その範囲ならコスト差は10〜20万円程度で、リターンの振れ幅(年率20%超)と比べれば小さな要素になります。
つまりコストは「同じ指数なら安いほうを選ぶ」ときの決め手にはなるが、違う指数どうしを選ぶときの主役ではない。この2本は連動する指数がそもそも違うので、コスト差だけで結論を出すのは短絡的です。手数料が資産形成に与える影響の全体像は投資の「手数料・コスト」完全ガイドで整理しています。
50代の配分|攻め枠は何%までにすべきか
ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。商品を選ぶ前に、金額の上限を決めてください。
「コア・サテライト」で考える
- コア(土台)=オルカン or S&P500:リスク資産の8割前後。ここは動かさない
- サテライト(攻め)=NASDAQ100やFANG+:リスク資産の1〜2割まで
- 生活防衛資金は別枠で現金:投資に回さない。ここを削って攻めるのは順番が逆
- 攻め枠の中でさらに絞るならFANG+:たとえばサテライト全体の半分まで、といった上限を自分で決める
なぜ上限を先に決めるのか。理由はシンプルで、下落局面で判断を迫られたときに「決めておいた比率まで戻す」という機械的な行動に逃げ込めるからです。上限がないと、上がっているときに買い増して、下がってから怖くなって売る——という最悪の順番になりがちです。
コアとサテライトの重複に注意
もう一つ、見落としやすい落とし穴があります。オルカンやS&P500の中にも、FANG+やNASDAQ100の構成銘柄はすでに入っているということです。
S&P500の上位には米国の大型テック企業が並びます。つまり「オルカン8割+FANG+2割」にすると、特定の大型テック企業への実質的な比重は思った以上に高くなる。攻め枠を足すというのは、すでに持っている銘柄を上乗せで買い増す行為でもあるのです。
自分のリスク許容度から配分を逆算する手順は50代の資産配分(アセットアロケーション)完全ガイドで診断形式にまとめています。

買う前に知っておきたい5つの注意点
- ①どちらも為替の影響を受ける:原則として為替ヘッジなし。円高になれば円換算の評価額は下がる
- ②「毎月決算型」は別ファンド:FANG+には毎月決算・予想分配金提示型の別コースがある。名前が似ていても中身の設計と枠の扱いが異なるので買う前に必ず確認を
- ③証券会社によって取扱いが違う:主要ネット証券では両方とも扱われていることが多いが、金融機関によっては片方しかない。口座を決める前に確認
- ④指数の中身は入れ替わる:FANG+は10銘柄が定期的に見直される。「いま入っている会社」がずっと続くわけではない
- ⑤新NISAは損益通算・繰越控除ができない:値動きの大きい商品ほどこの制約が効く。含み損のまま放置する期間が長くなる可能性を織り込む
とくに②は間違えやすい
「iFreeNEXT FANG+インデックス」と「iFreeNEXT FANG+インデックス(毎月決算/予想分配金提示型)」は別のファンドです。後者は分配金を定期的に出す設計で、資産を増やす局面では分配のたびに複利が効きにくくなるという性格を持ちます。
50代でこれから増やしたいなら、原則は分配を出さないタイプを選ぶのが素直です。取り崩しの段階に入ってから分配型を検討する、という順番のほうが合理的でしょう。毎月分配型の考え方についてはプラチナNISAとは?「毎月分配型」とタコ足配当の罠で詳しく整理しています。
なお投資信託の分類や基準価額の仕組みそのものは、投資信託協会の公式サイトでも図解付きで解説されています。用語で迷ったときは一次情報にあたるのが確実です。
3つの質問で決める|あなたはどちらを選ぶべきか
- Q1:この資金は「なくなっても生活が変わらない」お金ですか?
→ NOなら、どちらも買わない。攻め枠は余力の範囲でのみ成立します - Q2:攻め枠の「中心」に据えたい?それとも「スパイス」?
→ 中心ならニッセイNASDAQ100(低コスト・約100銘柄)。スパイスならFANG+(上限を決めて少額) - Q3:つみたて投資枠にまだ余裕がありますか?
→ つみたて枠を使いたいならFANG+一択(ニッセイNASDAQ100は成長投資枠のみ)
迷ったときの現実的な着地点
50代で「初めて攻め枠を作る」なら、ニッセイNASDAQ100から始めるほうが無難です。理由は、コストが3分の1以下で、銘柄数が多く、値動きも相対的に穏やかだから。攻めとはいえ、最初の一歩は再現性の高いほうから入ったほうが続きます。
そのうえで「10銘柄に賭ける面白さも欲しい」と感じるなら、サテライトの中のさらに一部としてFANG+を足す。この順番なら、仮にFANG+が大きく下げても資産全体へのダメージは限定的です。
逆にすでに成長投資枠を使い切っていて、つみたて枠にしか余裕がない人は、選択肢が実質FANG+だけになります。その場合は「積立額を小さくする」ことでリスクを調整してください。商品を選べないときは、金額で調整するのが定石です。
信託報酬は0.7755% vs 0.2035%で約3.8倍の差。直近1年はFANG+が+19.40%・リスク23.70%、ニッセイNASDAQ100が+30.00%・リスク17.63%と、集中させたほうが「大きく揺れて小さく増えた」結果でした。一方でつみたて投資枠で買えるのはFANG+だけという逆転もあります。商品選び以前に「攻めは資産の何%までか」を決めること——これが50代にとっていちばん効く判断です。
攻め枠の商品は「どの証券会社で買っても中身は同じ」ですが、取扱いの有無・保有中のポイント・銘柄分析ツールの使い勝手で口座の差は出ます。米国株や個別銘柄の分析ツールまで含めて1つ持っておきたいなら、マネックス証券は候補に入ります。
※取扱商品・保有ポイントの付与条件は変更される場合があります。購入前に必ず各証券会社の公式サイトでご確認ください。
また、値動きの大きい商品を「売らずに持ち続ける」ための器としては、iDeCoも有力です。iDeCoは原則60歳まで引き出せないという制約が、裏を返せば暴落時に狼狽売りできない仕組みとして働きます。掛金が全額所得控除になるぶん、節税というリターンが上乗せされる点も50代には効きます(商品ラインナップは金融機関ごとに異なるため、加入前に必ず確認してください)。
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まとめ:商品を選ぶ前に「攻めの上限」を決める
- 信託報酬はFANG+が0.7755%、ニッセイNASDAQ100が0.2035%。約3.8倍の差
- 純資産は約1兆4,136億円 vs 約6,148億円。どちらも繰上償還を心配する規模ではない
- 直近1年のリターンは+19.40% vs +30.00%でニッセイNASDAQ100が上回った
- 直近1年の標準偏差は23.70% vs 17.63%。FANG+のほうが大きく揺れた
- FANG+の5年リターンは年率+27.50%と高いが、標準偏差も28.87%。3割前後の下落が起こりうる値動き
- 中身は10銘柄の等金額 vs 約100銘柄の時価総額加重。等金額は「勝ち銘柄を定期的に売る」性格を持つ
- つみたて投資枠で買えるのはFANG+だけ。ニッセイNASDAQ100は成長投資枠のみ(2026年8月時点)
- 2本を両方持っても分散にはならない。中身が大きく重なるため
- オルカン・S&P500の中にも同じ銘柄が入っている。攻めを足す=すでに持つ銘柄の買い増しである点に注意
- 「毎月決算/予想分配金提示型」は別ファンド。増やす段階では分配を出さないタイプが素直
- 50代の実務的な着地点は「コアはオルカンやS&P500、攻めはリスク資産の1〜2割まで」
攻めの商品を比べていると、つい「どちらがより儲かるか」を当てにいきたくなります。ですが今回のように、集中させたほうが負けている期間は普通に存在します。どちらが勝つかは事前には分かりません。
事前に決められるのは「いくらまでなら賭けられるか」だけです。そこさえ決めておけば、当たっても外れても資産全体は壊れません。50代の投資で本当に効くのは、当てにいく力ではなく、外れても続けられる設計のほうです。一緒にコツコツやっていきましょう!
成長性の高い企業に集中することが、本当に長期のリターンにつながるのか——この論点を膨大な実証データで検証した古典的な一冊です。攻め枠の比率を決める前に一度読んでおくと、判断がぶれにくくなります。
※本記事は2026年8月31日時点で公表されている大和アセットマネジメント・ニッセイアセットマネジメントの情報および日本経済新聞の投資信託データ(基準価額は2026年8月28日時点、純資産・トータルリターン・標準偏差は2026年7月末時点)を基にした一般的な情報提供であり、特定の投資信託の購入を推奨するものではありません。信託報酬・純資産総額・基準価額・トータルリターン・標準偏差はいずれも変動し、記載時点の数値です。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。図3のシミュレーションは運用リターンを年率7%と仮定して信託報酬の差だけを比較した試算であり、実際のリターンを予測するものではありません。指数の構成銘柄は定期的に見直され入れ替わります。両ファンドとも為替ヘッジを原則として行わないため、円高局面では外貨建資産の円換算評価額が下落する可能性があります。新NISAの対象枠(つみたて投資枠・成長投資枠)の区分および各金融機関での取扱いは変更される場合がありますので、購入前に必ず金融庁の対象商品リスト・交付目論見書および各金融機関の公式情報をご確認ください。投資信託は元本保証の商品ではなく、価格変動・為替変動・信用リスク等により元本割れが生じる可能性があります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。








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