新NISAのつみたてを「現金」でやっているなら、それはもったいないかもしれません。同じ投資信託を同じ金額だけ買うのに、クレジットカードで決済するだけでポイントが上乗せされる——これがクレカ積立です。月10万円まで使えるので、還元率が1%違えば年間12,000円分の差になります。
ところが2024年以降、各社が「年間カード利用額に応じて還元率を変える」条件を次々に導入し、話がややこしくなりました。とくに三井住友カードは「前年度いくら使ったか」で還元率が0%〜1.0%まで動きます。一方でdカード×マネックス証券は、年会費無料のカードで年間利用額の条件なしに1.1%。この差は、50代の10年積立で無視できない金額になります。



📑 目次
結論:年会費0円で戦うならdカード×マネックス証券が有利
先に結論からお伝えします。
- 年会費0円という条件で比べると、dカード(一般)×マネックス証券の1.1%が最も高い。しかも年間カード利用額の条件がない
- 三井住友カード(NL)×SBI証券は0.5%。ただし前年度に年10万円以上カードを使っていないと0%(還元なし)
- 三井住友カード ゴールド(NL)は1.0%だが、それには前年度に年間100万円以上のカード利用が必要。10万円以上100万円未満なら0.75%、10万円未満は0%
- しかもクレカ積立の金額は「年間100万円」の集計対象外。積立とは別に、普段の買い物で100万円使う必要がある
- 月10万円を積み立てた場合、年間の獲得ポイントは13,200pt(dカード)vs 6,000pt(三井住友NL)。10年で72,000円相当の差
- ただしdカードは「積立可能なのがマネックス証券のみ」。SBI証券のサービスや取扱商品に魅力を感じるなら、還元率だけでは決められない
ポイントは「還元率」ではなく「その還元率を来年も維持できるか」です。順に見ていきましょう。
3枚を並べて比較|還元率・年会費・条件の全体像
※還元率・年会費・付与条件は変更される場合があります。必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
還元率だけを見ると順位が逆転して見える
表を見ていただくと分かるとおり、年会費無料のdカードが1.1%で、年会費5,500円のゴールドNLの1.0%を上回っています。直感に反する結果ですが、これはマネックス証券がクレカ積立の還元率で他社より攻めた設定をしているためです。
マネックス証券はネット証券の中では口座数で楽天証券・SBI証券に水をあけられており、クレカ積立の還元率を集客の武器にしてきた経緯があります。利用者にとっては、この競争がそのまま還元として返ってくるわけです。
ただし「積立できる証券会社」が違う
ここは大前提として押さえてください。dカードで積立できるのはマネックス証券だけ、三井住友カードで積立できるのはSBI証券だけです。つまりカードを選ぶことは、実質的に証券会社を選ぶことと同じになります。
すでにSBI証券で新NISA口座を持っている人が、還元率0.6ポイントのために金融機関変更をするべきか——これは還元だけで決められる話ではありません。金融機関変更は年単位の手続きで、その年にすでに買い付けをしていると当年分は変更できないなど制約もあります。詳しくは新NISA口座の金融機関変更ガイドで整理しています。
dカード×マネックス証券|NISA口座なら10万円まで一律1.1%
NISA口座と課税口座で還元率のルールが違う
dカード積立でいちばん重要なのが、この点です。
- NISA口座での積立:月10万円まで一律1.1%(dカード・dカード GOLD)
- 課税口座での積立:積立額に応じて段階的に還元率が下がる(5万円以下/5万円超〜7万円/7万円超〜10万円の3段階)
- dカード PLATINUM:NISA口座で最大3.1%。ただし年会費29,700円(税込)、かつ入会2年目以降はカード利用額に応じて1.1%〜3.1%で変動
- 月間の積立上限は10万円(NISA口座・課税口座の合計)
※還元率・段階の区分・上限額は変更される場合があります。実行前に必ずマネックス証券およびdカードの公式情報をご確認ください。
つまり新NISAのつみたてに使うぶんには、10万円まで素直に1.1%。段階制を気にする必要がありません。ここが分かりやすさの点で優れています。
年会費0円で「条件なし1.1%」の意味
三井住友カードの条件と比べたときに効いてくるのが、「年間利用額の条件がない」という点です。
50代でクレカ積立を始める人の多くは、そのカードを積立専用にします。普段の買い物は使い慣れた別のカードのまま、という人が大半でしょう。この使い方をすると三井住友カードでは「前年度の利用額」の条件を満たせず、還元率が下がる(あるいはゼロになる)リスクが出てきます。dカードにはその心配がありません。

dカード GOLDを選ぶ意味はあるか
dカード GOLD(年会費11,000円)でも、NISA口座のクレカ積立の還元率は一般カードと同じ1.1%です。つまり積立目的だけならGOLDにする意味はありません。
GOLDが効くのはドコモの携帯料金・ドコモ光の利用料金に対する10%還元など、積立以外の部分です。ドコモユーザーで通信費が高い人だけが検討すればよく、それ以外の人は年会費無料の一般カードで十分といえます。
三井住友カード×SBI証券|「前年度いくら使ったか」で還元率が動く
2024年11月からルールが変わった
三井住友カードのクレカ積立は、かつて「カードのランクだけで還元率が決まる」シンプルな設計でした。それが2024年11月買付分から、前年度の年間カード利用額を条件に加える方式へ変更されています。
- 三井住友カード(NL)など一般カード:前年度10万円以上の利用で0.5%/10万円未満は0%
- 三井住友カード ゴールド(NL):前年度100万円以上で1.0%/10万円以上100万円未満で0.75%/10万円未満は0%
- 三井住友カード プラチナプリファード:前年度の利用額に応じて最大3.0%(年会費33,000円)
- 入会初年度:判定する前年度がないため、ランクごとの上限付与率が適用される
※付与率・判定期間・対象となる利用額の定義は変更される場合があります。必ず三井住友カードおよびSBI証券の公式情報でご確認ください。
いちばんの落とし穴|クレカ積立は「100万円修行」に数えられない
これは非常に多くの人が誤解している点です。ゴールド(NL)の年会費を永年無料にする「年間100万円利用」の集計に、クレカ積立の金額は含まれません。
つまり月10万円×12か月=年120万円を積み立てても、100万円修行はまったく進みません。積立とは別に、普段の買い物・公共料金などで100万円を使う必要があります。年間100万円は月8.3万円のペース。これを日常の支出だけで達成できる50代世帯がどれくらいあるかは、家計次第でしょう。
三井住友カード ゴールド(NL)とプラチナプリファードの損益分岐点や100万円修行の実務については、三井住友カード ゴールド(NL)vs プラチナプリファードで詳しく計算しています。
それでもSBI証券が強い理由
フェアに書くと、還元率で負けていてもSBI証券を選ぶ合理性はあります。
- 投資信託の保有残高に応じたポイント付与(投信マイレージ)。積立時だけでなく保有し続けている間もポイントが貯まる
- 取扱商品の幅:投資信託の本数、単元未満株(S株)、外国株の取扱国数など
- ポイントの選択肢:Vポイント・Pontaポイント・dポイント・JALのマイルなどから選べる
- 口座数の規模:ネット証券最大手で、情報・解説記事が豊富。困ったときに調べやすい
とくに投信の保有残高ポイントは、積立時のポイントより長期では大きくなる可能性があります。この論点は投信の保有ポイントはどこが得?松井証券 vs SBI証券 vs 楽天証券で試算していますので、あわせて確認してください。
10年でいくら差がつくか|月10万円積立のシミュレーション
※年会費差引の欄は、ゴールド(NL)で年間100万円利用の条件を満たせなかった場合に年会費5,500円がかかる前提で計算しています。ポイントの価値は1pt=1円相当として計算しました。
年間の差は最大13,200円
月10万円をフルに積み立てた場合、dカードの年間13,200ptに対し、三井住友カード(NL)は6,000pt。年間7,200円の差です。
そして見落とされがちなのがゴールド(NL)で条件を外したケース。前年度の利用が10万円未満だと還元率は0%になり、年会費5,500円だけが残ります。積立専用カードとして寝かせておくと、これが実際に起こりえます。
※現在の付与条件が10年間そのまま続くと仮定した単純累計です。実際には各社の条件変更により結果は変わります。将来の還元を保証するものではありません。
10年で72,000円相当の差
月10万円を10年続けた場合の累計は、dカードが132,000pt、三井住友カード(NL)が60,000pt。差は72,000円相当になります。
この72,000円をどう受け止めるかは人それぞれです。ただ「同じ商品を同じ金額買っているのに、決済手段の違いだけで生まれる差」である以上、投資リスクをまったく取らずに得られる確定的な差でもあります。50代の10年は、資産形成に使える時間としては短いほう。取りこぼしは少ないほうがいいでしょう。

dポイントとVポイント|貯めた後の出口も比べておく
還元率の話に夢中になると忘れがちですが、ポイントは使えて初めて価値になります。
- dポイント:ドコモの携帯料金への充当、d払い、ローソン・マクドナルドなど提携店での支払い、dポイント投資、マネックス証券での投信買付にも利用可能
- Vポイント:三井住友カードの請求額への充当(1pt=1円)、Vポイントアプリでの決済、SBI証券での投信買付、Oliveの各種特典
- どちらも「投資信託の買付に回せる」点が共通。貯まったポイントをそのまま再投資できる
※ポイントの用途・交換レート・有効期限は変更される場合があります。最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。
「使う先がある側」を選ぶのが正解
ここは家計の実態で決まります。ドコモの回線を使っている世帯ならdポイントは携帯料金に充当できるので、実質的に現金と同じ。逆にドコモを使っていない人にとってのdポイントは、使い道を探す手間が発生します。
三井住友カードのVポイントはカードの請求額に1pt=1円で充当できるため、こちらは誰にとっても現金同等です。この点は還元率の差をいくらか埋める要素といえます。
ポイントを投資の元手に変える具体的な方法は楽天ポイント・Vポイントで新NISA|50代がポイ活を「ほったらかし投資」の元手に変える方法で整理しています。
見落としやすい5つの落とし穴
- ①締切日がある:クレカ積立は毎月の設定締切日が決まっている。締切を過ぎると翌月からの適用になり、その月の非課税枠を1か月分取りこぼす
- ②年間120万円をカードで払える与信が必要:月10万円をカード決済するので、利用限度額に余裕がないと決済エラーになる。他の支出と合算で枠を圧迫していないか確認
- ③クレカ積立は「つみたて投資枠」だけとは限らない:証券会社によっては成長投資枠での積立設定も可能。どちらの枠を使うかで年間上限が変わる
- ④条件変更のアナウンスを追う必要がある:マネックスカードは2026年10月買付分からカード利用金額の条件が追加される予定。各社とも条件は動く
- ⑤ポイント付与は「積立額」に対してであって「儲け」ではない:1.1%は確定的なリターンだが、投資信託そのものは元本割れしうる。還元率で商品選びを歪めない
とくに④は毎年チェックが必要
2024年に三井住友カードが条件を変え、2026年10月からはマネックスカード(dカードではなくマネックス証券自身のカード)の投信つみたてにも、カードショッピング利用金額の条件が追加される見込みです。
クレカ積立は「一度設定したら放置」でよい仕組みではあるものの、条件だけは年1回見直す——このくらいの温度感がちょうどよいでしょう。確定申告の時期など、年に1回決めた月に確認する習慣にしておくと忘れません。

50代の選び方|3つの質問で決める
ここまでの内容を、判断できる形に落とし込みます。
- Q1:これから証券口座を作る(=どこでもいい)?
→ YESなら、年会費0円で1.1%のdカード×マネックス証券が有力。条件がシンプルで、維持の手間がない - Q2:すでにSBI証券で新NISAを使っている?
→ YESなら、無理に移さず三井住友カード(NL)で0.5%を取りにいく。投信の保有ポイントも含めれば十分に戦える - Q3:普段の買い物でも年間100万円をカードに集約できる?
→ YESならゴールド(NL)で1.0%+年会費永年無料が狙える。NOなら年会費5,500円が負担になるだけなので、一般のNLで十分
「積立額が小さい人」ほど還元率より使いやすさ
最後に大事な視点を。月3万円の積立なら、1.1%と0.5%の年間差は2,160円です。この金額のために口座を移し、証券会社の画面に慣れ直すコストが見合うかは、慎重に考えたほうがいいでしょう。
50代の資産形成でいちばん怖いのは、複雑にしすぎて途中でやめてしまうことです。還元率0.6ポイントを取りにいって管理が面倒になり、積立自体を止めてしまえば本末転倒。まずは「続けられる形」を優先してください。
年会費0円の条件ではdカード×マネックス証券の1.1%が最も高く、年間利用額の条件もない。三井住友カード(NL)は0.5%(前年度10万円未満なら0%)、ゴールド(NL)は1.0%だが年間100万円利用が必要で、しかもクレカ積立額はその集計に含まれない。月10万円積立の10年累計では72,000円相当の差。ただしすでにSBI証券を使っているなら、投信の保有ポイントまで含めて総合で判断すべきです。
dカード積立を使うには、受け皿となるマネックス証券の口座が必要です。口座開設・維持ともに費用はかからず、米国株の取扱いや「銘柄スカウター」といった分析ツールも無料で使えます。1.1%を取りにいくなら、まずはここが入口になります。
※dカード積立の利用には、dカードとマネックス証券の口座、およびdアカウントの連携が必要です。適用条件・還元率は変更される場合があるため、申込前に必ず公式サイトでご確認ください。
一方、SBI証券を選ぶなら、口座開設そのものをポイントサイト経由にすると開設分の還元が上乗せされます。クレカ積立の還元率で負けるぶんを、入口で取り返しておく発想です。
なお、新NISAの制度そのものについては金融庁のNISA特設ウェブサイトに一次情報がまとまっています。制度の年間上限や非課税保有限度額など、条件を確認したいときはこちらが確実です。
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まとめ:還元率だけでなく「条件が続くか」で選ぶ
- 年会費0円の条件では、dカード(一般)×マネックス証券の1.1%が最も高い。年間カード利用額の条件もない
- dカード積立はNISA口座なら月10万円まで一律1.1%。課税口座は積立額に応じた段階制になる
- dカード GOLDにしてもNISA口座の積立還元率は1.1%で変わらない。積立目的だけならGOLDにする意味はない
- 三井住友カード(NL)×SBI証券は0.5%。前年度のカード利用が10万円未満だと0%になる
- ゴールド(NL)の1.0%には前年度100万円以上の利用が必要。10万〜100万円なら0.75%
- クレカ積立の金額は「年間100万円」の集計対象外。積立とは別に日常の買い物で100万円が必要
- 月10万円積立の年間ポイントは13,200pt vs 6,000pt、10年で72,000円相当の差
- SBI証券には投信の保有残高ポイント・取扱商品の幅という強みがある。還元率だけで決めない
- dポイントはドコモユーザーなら携帯料金に充当できて実質現金。Vポイントはカード請求額に1pt=1円で充当可能
- 各社とも付与条件は変わる。マネックスカードは2026年10月買付分から利用金額条件が追加される見込み
- 月3万円の積立なら年間差は2,160円。金額が小さいなら還元率より使いやすさを優先してよい
クレカ積立は「投資の腕」ではなく「設定」で差がつく数少ない領域です。相場を読む必要も、銘柄を選ぶ必要もありません。最初に条件を確認して正しく設定するだけで、10年後の手元が数万円変わる——だからこそ、始める前の30分を惜しまないでください。一緒にコツコツやっていきましょう!
クレカ積立の還元率は、家計の中では「守り」の一手にすぎません。固定費・保険・税金まで含めてお金の流れを整理すると、還元率より大きな金額が動きます。全体像を1冊で押さえておくと判断が速くなります。
※本記事は2026年8月29日時点のマネックス証券・SBI証券・三井住友カード・NTTドコモ(dカード)および金融庁の公表情報を基にした一般的な情報提供であり、特定の金融機関・クレジットカード・金融商品の利用を推奨するものではありません。ポイント付与率・年会費・年間利用額の判定条件・積立上限額・締切日は各社の判断で変更される場合があるため、申込・設定の前に必ず各社公式サイトで最新の内容をご確認ください。本文および図中の獲得ポイント試算は、記載時点の付与条件が継続すると仮定し、1pt=1円相当として計算した単純累計であり、将来の還元を保証するものではありません。ポイントの交換レート・有効期限・利用可能な用途も変更される場合があります。投資信託は元本保証の商品ではなく、価格変動・為替変動により元本割れが生じる可能性があります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。








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