投資信託は「持っているだけ」でポイントがもらえます。松井証券の投信残高ポイントサービス、SBI証券の投信マイレージ、楽天証券の投信残高ポイントプログラム——名前は似ていますが、中身は3社でまったく違います。とくに見落とされがちなのが、楽天証券でeMAXIS Slimシリーズを積み立てている人は、保有ポイントが1円ももらえないという事実。この記事では、50代が新NISAで1,000万円規模の残高を持つ前提で、3社の還元率が実際にいくらの差になるのかを試算し、そのうえで「ポイントで証券会社を選ぶべきか」まで正直に整理します。



📑 目次
結論:低コスト投信なら年1,750円前後。ただし楽天証券だけは「0円」になる
先に結論をお伝えします。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のような超低コストのインデックスファンドを1,000万円分持っている場合、投信保有ポイントは松井証券とSBI証券でおおむね年1,750円相当(付与率 年0.0175%・2026年8月時点の各社公表値)です。一方、楽天証券では同じファンドを持っていても保有ポイントは0円。楽天証券の残高ポイントは「楽天・プラス」シリーズだけが対象だからです。
- 低コストインデックスでの3社差は「年1,750円 vs 0円」。率の差ではなく、対象かどうかの差が大きい
- 松井証券は対象銘柄の広さが強み。ほぼ全銘柄が対象で、しかもiDeCo口座の残高までポイント対象(2026年8月時点でこれは松井証券のみ)
- SBI証券はエントリー不要の自動付与。手続きを増やしたくない人向き
- 楽天証券は「楽天・プラス」シリーズ限定。eMAXIS Slim等を積んでいるなら残高ポイントは付かない
- ただし、ポイント差より信託報酬差のほうが約26倍大きい。会社選びより商品選びが先
つまり「どこが一番お得か」を血眼で探す価値はそれほど高くありません。ただし「自分は0円グループに入っていないか」を1回だけ確認する価値は十分にある——これがこの記事の要点です。
そもそも投信保有ポイントとは?「信託報酬の取り分」が原資
証券会社は信託報酬の一部を受け取っている
投資信託を持っていると、毎日少しずつ信託報酬(運用管理費用)が資産から差し引かれます。この信託報酬は、①運用会社、②販売会社(証券会社)、③信託銀行の3者で分け合う仕組みです。投信保有ポイントは、このうち②販売会社の取り分(代行手数料)の一部を、ポイントとして投資家に戻しているもの。証券会社がポケットマネーを配っているわけではありません。
この構造がわかると、次の事実がすんなり腹落ちします。信託報酬が安いファンドほど、保有ポイントの還元率も低くなる。証券会社の取り分そのものが小さいので、そこから戻せる金額も当然小さくなるからです。投資信託のコスト構造については投資信託協会の公式サイトでも図解付きで解説されています。
「最大1%」の正体
松井証券が掲げる「最大1%」という数字は、信託報酬が年1.5〜2%といった高コストのアクティブファンドを持った場合の上限値です。年1%のポイントをもらうために年2%のコストを払うのは本末転倒ですから、この数字だけを見て判断してはいけません。50代が新NISAで買うような低コストインデックスファンドでは、実際の付与率は年0.01〜0.05%程度に収まるのが普通です。

松井証券 vs SBI証券 vs 楽天証券|3社の中身を比べる
まずは、同じ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を1,000万円分持ったときに、1年でもらえるポイントを並べてみます。
※残高一定と仮定した単純計算です。実際は日々の残高をもとに計算され、付与率・対象銘柄は変更されることがあります。
松井証券|対象がほぼ全銘柄・iDeCo残高もカウント
松井証券の「投信残高ポイントサービス」の最大の特徴は、対象銘柄の縛りが実質ないことです。同社の公表では2026年8月9日時点で1,954銘柄が還元対象。eMAXIS Slimシリーズのような低コストインデックスも当然含まれます。「対象ファンドかどうかを気にせず選べる」というのは、地味ですが精神的にラクです。
そして50代にとって効いてくるのが、iDeCo口座の残高もポイント付与の対象になるという点。2026年8月時点で、iDeCoの残高までポイント対象にしているのは松井証券だけです。iDeCoは60歳まで引き出せない代わりに残高が積み上がり続ける口座なので、長期で見ると意外に効きます。
注意点は、ポイントの受け取りには申込(エントリー)が必要とされていること。自動で貯まる仕組みだと思い込んで放置すると取りこぼす可能性があるので、口座開設時に一緒に済ませておきましょう。最新の条件は松井証券の公式ページで確認できます。
SBI証券|エントリー不要、ポイントの種類も選べる
SBI証券の「投信マイレージ」は、エントリー不要で自動付与されるのが最大の美点です。手続きを1つでも減らしたい人にはこれが効きます。付与率は銘柄ごとに設定されており、通常銘柄は年0.1%(残高1,000万円以上で年0.2%)が目安。ただしeMAXIS Slimシリーズなどの低コスト銘柄は個別に低い付与率が設定されていて、オルカンは年0.0175%です。
もうひとつの強みは、貯まるポイントをVポイント・Pontaポイント・dポイント・JALのマイルなどから選べること。すでにメインで貯めている経済圏があるなら、この自由度は実利になります。
楽天証券|対象は「楽天・プラス」シリーズのみ
ここが今回いちばんお伝えしたいポイントです。楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」は、2023年秋のルール変更以降、楽天投信投資顧問が運用する「楽天・プラス」シリーズ(6本)だけが対象になっています。つまり、楽天証券で人気のeMAXIS Slim 全世界株式やeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を積み立てていても、残高に応じたポイントは1円も付きません。
対象となる楽天・プラスシリーズの付与率は、たとえば楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドが年0.017%、楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドが年0.028%(各社公表値・2026年8月時点)。S&P500に関しては、楽天・プラスがこの3社の中で最も高い付与率という逆転も起きています。条件の詳細は楽天証券の公式ページで確認してください。
| 項目 | 松井証券 | SBI証券 | 楽天証券 |
|---|---|---|---|
| サービス名 | 投信残高ポイントサービス | 投信マイレージ | 投信残高ポイントプログラム |
| 対象銘柄 | ほぼ全銘柄(約1,954本) | 幅広い投資信託 | 楽天・プラス6本のみ |
| オルカン系の付与率 | 年0.0175% | 年0.0175% | eMAXIS Slimは0%/楽天・プラスは年0.017% |
| エントリー | 必要 | 不要(自動) | 不要 |
| iDeCo残高 | 対象 | 対象外 | 対象外 |
| ポイント種類 | 松井証券ポイント | V・Ponta・d等から選択 | 楽天ポイント |
※各社公表資料をもとに当ブログが整理した目安です。条件・付与率は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
なお、証券会社そのものの総合的な使い勝手については楽天証券 vs SBI証券|50代の新NISAで選ぶなら結局どっち?で、S&P500投信の商品選びについてはeMAXIS Slim vs 楽天・プラス vs SBI・Vで詳しく比較しています。
1,000万円を10年置いたらいくら違う?信託報酬との比較で見る
ポイントの差は10年で約1.7万円
1,000万円を10年間持ち続けたと仮定して、単純計算してみます(残高一定・運用による増減は考慮しない前提)。付与率0.0175%なら年1,750円、10年で17,500円。付与率0%の口座なら当然0円ですから、その差は10年で約1.7万円です。
1.7万円は決して小さな金額ではありません。何もしなくてももらえるお金という意味では、確実に拾っておきたい。ただし、この数字は次の比較を見ると印象が変わります。
信託報酬の差は10年で約45万円
※元本一定と仮定した単純比較です。運用による増減・税金は考慮していません。
同じ1,000万円・10年で、信託報酬が年0.05%のファンドと年0.5%のファンドを比べると、コストの差は10年で約45万円。ポイントの差(約1.7万円)の約26倍です。ポイント還元率で証券会社を選ぶ労力を、信託報酬の低い商品を選ぶことに使ったほうが、リターンへの影響は桁違いに大きい——これが数字で見たときの現実です。
コストが長期リターンに与える影響については投資の「手数料・コスト」完全ガイドで、隠れコストまで含めて詳しく解説しています。

50代に効くのは「iDeCo残高もポイント対象」という一点
3社の差のなかで、50代にとってもっとも実利があるのは松井証券がiDeCo口座の残高もポイント対象にしていることです。理由は単純で、50代のiDeCoは60歳まで一切引き出さない=残高が減らない口座だから。企業型DCから移換してきたまとまった資産がある人なら、その残高がそのままポイントの計算対象になります。
たとえばiDeCoに500万円の残高があり、付与率が年0.0175%なら年間875円相当。金額としては控えめですが、他社では0円のものが受け取れると考えれば無視する理由もありません。iDeCoは金融機関を後から変えるのに数週間〜数ヶ月かかる制度なので、これから加入する人・移換する人ほど、この差を最初に考慮する価値があります。
iDeCoの金融機関選びそのものについては、マネックス証券 vs 松井証券のiDeCoとSBI証券 vs 楽天証券のiDeCoで商品数・手数料・サポートまで含めて比較しています。制度の基本ルールはiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)が一次情報です。
50代はどう選ぶ?3つの質問で決める
ここまでを踏まえて、迷ったときの決め方を1枚にまとめました。上から順に答えていけば、5分で結論が出ます。
※判断の目安であり、特定の金融機関・金融商品の利用を推奨するものではありません。
Q1:楽天証券でeMAXIS Slimを積み立てていないか
該当するなら、あなたの投信保有ポイントは現在0円です。ここだけは一度確認してください。選択肢は2つあり、①そのまま継続する(信託報酬の安さを優先)、②楽天・プラスシリーズへの切り替えを検討する、のいずれか。ただし課税口座で乗り換えると売却益に約20%課税されるため、乗り換えは新規の積立分だけにするのが現実的です。
Q2:iDeCoの残高もポイント対象にしたいか
したいなら松井証券が有力候補です。とくに企業型DCからの移換でまとまった残高が入る人は、その分だけ差が出ます。企業型DCからiDeCoへの移換を検討中なら、移換先を決める前にこの点も比較材料に入れておきましょう。
Q3:手続きの手間をできるだけ減らしたいか
減らしたいならSBI証券。エントリー不要の自動付与で、貯まるポイントも選べます。「毎年エントリーを忘れて取りこぼす」タイプの人には、この一点だけで十分な選択理由になります。
乗り換える前に確認したい3つの注意点
① 課税口座での乗り換えは税金が発生する
いちばん多い失敗がこれです。ポイント目当てに保有中の投資信託を売って別の証券会社で買い直すと、特定口座・一般口座では売却益に約20.315%の税金がかかります。年1,750円のポイントのために数十万円の税金を前払いしては元も子もありません。新NISA口座の商品は他社へ移せない(移管不可)点にも注意が必要です。乗り換えるならこれから積み立てる分だけを新しい会社に振り向けるのが基本です。
② 付与率と対象銘柄は改定される
楽天証券が2023年秋に対象を絞ったように、この手のプログラムは条件が変わります。証券会社間の競争が激しい分野なので、有利な会社が入れ替わるのは今後も起こり得ます。「今いちばんお得な会社」を追いかけて口座を渡り歩くのは、労力に見合いません。本命は信託報酬の安さと商品ラインナップ、ポイントはあくまでおまけと位置づけるのが健全です。
③ ポイントの使い道で実質価値が変わる
もらったポイントを何に使うかでも実質価値は変わります。3社とも投資信託の買付に使えるので、そのまま再投資に回すのが素直な使い道です。ポイントを投資に回す方法は楽天ポイント・Vポイントで新NISAで具体的に整理しています。なお、金融庁のNISA特設ウェブサイトでは、制度そのもののルールを自分の数字で確認できます。
「どの証券会社か」より「どの商品か」で差がつく——その全体像を一冊でつかむなら、ロングセラーの入門書に目を通しておくと判断が速くなります。

なお、米国株の分析ツールや商品ラインナップまで含めて口座を比較したい人は、マネックス証券のような第4の選択肢も検討対象になります。同社も投信保有ポイント(マネックスポイント)を用意しているので、条件は公式サイトで確認してみてください。
あわせて読みたい関連記事
- 楽天証券 vs SBI証券|50代の新NISAで選ぶなら結局どっち?
- S&P500投信はどれを買う?eMAXIS Slim vs 楽天・プラス vs SBI・V
- 投資の「手数料・コスト」完全ガイド|20年でいくら差になるか
- 楽天ポイント・Vポイントで新NISA|ポイ活を投資の元手に変える
- マネックス証券 vs 松井証券のiDeCo|50代はどっちを選ぶ?
- 新NISAはオルカン1本でいい?「1本集中」vs「複数分散」
- 楽天証券 vs SBI証券の投資信託「定期売却サービス」|50代の新NISA出口戦略、毎月いくら自動で取り崩す?【2026年最新】
まとめ:ポイントは「おまけ」。ただし0円かどうかは確認する価値がある
- eMAXIS Slim オルカンを1,000万円持った場合、松井証券・SBI証券は年1,750円相当、楽天証券は0円(2026年8月時点の目安)
- 楽天証券の残高ポイントは「楽天・プラス」シリーズ6本のみが対象。ただし楽天・プラス・S&P500は年0.028%と3社で最も高い
- 松井証券は対象がほぼ全銘柄で、iDeCo残高もポイント対象(2026年8月時点で同社のみ)
- SBI証券はエントリー不要の自動付与で、貯めるポイントの種類も選べる
- ポイント差(10年で約1.7万円)より信託報酬差(10年で約45万円)のほうが約26倍大きい
- 課税口座での乗り換えは売却益に約20%課税。動かすなら新規の積立分から
投信保有ポイントは、証券会社を選び直すほどの決定打にはなりません。けれど、「自分の口座では0円だった」と何年も後に気づくのは、さすがにもったいない。今日やることは1つだけです。自分が積み立てているファンド名で、証券会社の付与率一覧を検索してみてください。5分で終わります。そこが0%だったなら、次の積立分をどうするかを考える。それだけで十分です。一緒にコツコツやっていきましょう!
※本記事は2026年8月時点の各社公表情報を基にした一般的な情報提供であり、特定の金融機関・金融商品の利用を推奨するものではありません。記事中の付与率・対象銘柄数・サービス内容は各社の公表資料を基にした目安であり、予告なく変更される場合があります。シミュレーションは残高一定と仮定した単純計算で、運用による資産の増減・税金・為替の影響は考慮していません。実際の付与額は日々の保有残高をもとに計算されるため、記載の金額とは異なります。投資信託は元本が保証された商品ではなく、元本割れのリスクがあります。税制上の取り扱いは個別事情により異なります。最終的な判断は各社公式サイトの最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。








コメント