「新NISAでコツコツ積み立てているけれど、もし自分が先に亡くなったら、この資産は家族にどう引き継がれるんだろう?」——50代になると、資産形成と同じくらい「遺し方」も気になってきます。新NISAは非課税で運用できる心強い制度ですが、口座の名義人が亡くなったときは、配偶者や子どもがそのまま使い続けることはできません。NISA口座は相続できず、資産は「死亡日の時価」で相続人の課税口座へ移される——このルールを知らないと、家族が手続きで戸惑うことになります。本記事では、NISAの名義人が亡くなったときの資産の流れ・手続き・50代が今からできる備えを図解で整理します。



📑 目次
結論:NISA口座は相続できない。資産は「死亡日の時価」で課税口座へ
先に結論からお伝えします。新NISAの名義人が亡くなったときの取り扱いについて、50代が押さえておきたいポイントは次の3つです。
- ① NISA口座は引き継げない(名義変更不可):名義人が亡くなると、その日でNISA口座は廃止。配偶者や子がそのまま非課税で運用を続けることはできない
- ② 資産は「死亡日の時価」で相続人の課税口座へ移管:NISA内の商品は死亡日の時価で評価され、相続人の特定口座・一般口座に移される。相続人のNISA口座には入れられない
- ③ 死亡日までの含み益は非課税:取得価額は死亡日の時価に置き換わるため、死亡日までの値上がり分には課税されない。一方、死亡日以降の値上がりは相続人の課税対象になる
つまり、NISAの非課税のメリットは「名義人が亡くなった日まで」。資産そのものは家族に引き継がれますが、「非課税のまま運用を続ける」ことはできない、というのが基本ルールです。まずは、名義人が亡くなったときに資産がどう動くのかを見ていきましょう。なお、生前のうちに資産を移す「生前贈与」という選択肢もあり、その比較は50代の生前贈与活用ガイド|暦年贈与 vs 相続時精算課税で解説しています。
名義人が亡くなるとNISAはどうなる?資産の流れ
NISAの名義人が亡くなると、資産は次のような流れで相続人に引き継がれます。下の図1は、その全体像のイメージです。
※上場株式等の一般的な取り扱いのイメージです。具体的な手続き・評価は金融機関や税理士にご確認ください。
① 名義人の死亡日でNISA口座は廃止される
名義人が亡くなると、その日をもってNISA口座は廃止されます。NISAは「本人だけが使える」非課税の制度のため、口座そのものを家族が引き継ぐことはできません。
② 死亡日の時価で「相続財産」として評価される
NISA口座内の株式や投資信託は、死亡日(相続発生日)の時価で評価され、ほかの預貯金や不動産と同じく相続財産として相続税の計算に含まれます。NISAだからといって相続税が非課税になるわけではない、という点は誤解しやすいので注意しましょう。上場株式の相続税評価の詳細は国税庁「上場株式の評価」で確認できます。
③ 相続人の課税口座に移管される
引き継ぐ資産は、相続人の課税口座(特定口座・一般口座)に移されます。このとき重要なのが、取得価額が「死亡日の時価」に置き換わること。たとえば故人が100万円で買った投資信託が死亡日に150万円になっていれば、相続人はその150万円を新たな取得価額として引き継ぎます。つまり、死亡日までの50万円の含み益には課税されません(NISAの非課税が活きる部分)。一方、その後さらに値上がりした分は、相続人の課税口座で通常どおり課税対象になります。

NISA相続で「できること・できないこと」
ここで、NISAの相続で「できること」と「できないこと」を整理しておきましょう。下の図2のように、引き継げるもの・引き継げないものをはっきり分けて理解しておくと、家族が迷いません。
※制度の一般的な取り扱いです。死亡日以降の値上がり益や受け取る配当は相続人の課税対象になります。
- 相続人のNISA口座には入れられない:引き継いだ資産は課税口座へ。相続人のNISA枠を使って非課税で持ち直すことはできない
- 移管できるのは「同じ金融機関」内だけ:故人がA証券でNISAをしていたら、相続人もA証券に口座が必要。別の金融機関へ直接移すことはできない
- 死亡後に支払われる配当・分配金は相続人の課税対象:死亡日以降に受け取る配当などには通常どおり課税される
「相続人が自分のNISA枠で非課税のまま持ち直せたら……」と思うかもしれませんが、現在の制度ではそれはできません。相続でいったん課税口座に入った資産を改めてNISAで運用したい場合は、相続人がその資産を売却し、自分のNISA枠で新たに買い直す(=現金化して再投資する)という形になります。課税口座とNISAの関係は50代の特定口座→新NISA 乗り換え戦略もあわせて参考にしてください。
相続の手続きと主な必要書類
実際にNISA資産を相続するときの手続きは、おおむね次の4ステップです。下の図3に流れと主な必要書類をまとめました。
※必要書類・手続きは金融機関により異なります。詳細は各社の案内をご確認ください。
ポイントはSTEP2「相続人の口座を準備」です。前述のとおり、資産は同じ金融機関内でしか移管できないため、相続人がその金融機関に課税口座を持っていない場合は、新たに口座開設が必要になります。手続きには戸籍謄本や印鑑証明書など多くの書類がそろうまで時間がかかることもあるため、慌てないよう全体像を知っておくことが大切です。主な必要書類の例は次のとおりです。
- 非課税口座開設者死亡届出書(金融機関所定の様式)
- 上場株式等移管依頼書(相続用)
- 被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
- 遺産分割協議書または遺言書、本人確認書類 など
なお、相続税がかかるかどうかは、NISA資産だけでなく預貯金・不動産・保険なども含めた遺産全体と基礎控除額(「3,000万円+600万円×法定相続人の数」)との比較で決まります。判断が難しい場合は、早めに税理士やお金の専門家に相談すると安心です。相続を含めた60代以降のお金の全体像は60代の貯蓄リアル|退職金・年金・相続で資産を守るでも触れています。
50代が今からできる備え|家族のための3つの準備
相続の場面で家族が困るのは、「どこに、どんな資産があるのか分からない」というケースです。ネット証券のNISAは通帳のように形が残らないため、本人しか把握していないと、遺された家族が気づかないことすらあります。50代の今から、次の3つを準備しておきましょう。
① 資産の「ありか」を家族と共有しておく
どの金融機関にNISA・課税口座があるかを、エンディングノートや簡単なメモにまとめ、配偶者など信頼できる家族と共有しておきましょう。口座番号やID・パスワードそのものを書き残す必要はありませんが、「どこに資産があるか」が分かるだけで、家族の手続きは格段にラクになります。
② 相続人も同じ金融機関に口座を用意しておく
NISA資産は同じ金融機関内でしか移管できないため、配偶者など主な相続人が同じネット証券に口座を持っておくと、いざというときの移管がスムーズです。これからネット証券を選ぶなら、取扱い商品が多く管理画面の見やすい証券会社を、夫婦そろって持っておくと安心です。
③ 「生前贈与」や保険など、ほかの遺し方も検討する
NISA資産をそのまま非課税で引き継ぐことはできませんが、生前贈与(年110万円の基礎控除など)や生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を組み合わせれば、家族への遺し方の選択肢は広がります。世帯でNISAを活用する考え方は50代夫婦の新NISA活用術|世帯で3,600万円の非課税枠を最大化する分担戦略も参考になります。NISA制度そのものの公式情報は金融庁のNISA特設ウェブサイトで確認できます。

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参考になる一次情報
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」:新NISAの非課税のしくみの公式説明
- 国税庁「上場株式の評価」:相続財産としての株式の評価方法
- 国税庁「相続税の計算」:基礎控除額や相続税の計算の基本
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まとめ:「遺し方」まで考えてこそ50代の資産形成
- NISA口座は相続できない。名義人が亡くなった日に口座は廃止され、名義変更もできない
- 資産は死亡日の時価で評価され、相続人の課税口座(特定口座・一般口座)へ移管される
- 取得価額は死亡日の時価に置き換わり、死亡日までの含み益は非課税。死亡日以降の値上がりは課税対象
- 移管できるのは同じ金融機関内のみ。相続人もその金融機関に口座が必要
- NISA資産も相続財産として相続税の対象。基礎控除や保険・贈与とあわせて全体で考える
- 50代の備え:資産のありかを家族と共有/相続人も同じ金融機関に口座/贈与・保険も検討
新NISAは「増やす」ための強力な制度ですが、50代になったら「どう遺すか」までセットで考えておきたいところ。NISA口座そのものは引き継げなくても、資産のありかを家族と共有し、手続きの流れを知っておくだけで、遺された家族の負担は大きく変わります。増やすことと遺すこと、その両方に目を配りながら、焦らず一緒にコツコツ資産形成を進めていきましょう!
※本記事は2026年6月時点の公開情報を基にした一般的な情報提供であり、特定の金融機関・商品や税務・相続上の取り扱いを推奨・保証するものではありません。NISAの相続の取り扱いや必要書類、相続税の計算方法は、制度改正や個々の状況、金融機関により異なります。記載の数値・控除額は目安であり、実際の取り扱いは最新の公式情報をご確認ください。具体的な相続・税務の判断にあたっては、税理士・FP等の専門家にご相談ください。








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