ある日、社内メールで「特別退職支援制度のご案内」という件名が届く。開いてみると、対象は50歳以上・勤続20年以上。通常の退職金に加えて割増退職金として年収の1〜2年分を上乗せする、と書いてある。締切は3週間後——。2025年に上場企業が募集した早期・希望退職は判明分だけで1万7,875人にのぼり、業績が悪くない会社まで実施する「黒字リストラ」が広がりました。この記事では、早期退職に応募するか、定年まで働き続けるかを、感情ではなくお金の数字で決めるための材料を全部並べます。



📑 目次
結論:判断を分けるのは「割増額」ではなく「次の年収」
先に結論をお伝えします。早期退職に応募すべきかどうかを決めるいちばん大きな変数は、割増退職金の額ではなく「辞めたあとに稼げる年収」です。
- 割増退職金は「前借り」の性格がある。定年まで働けばもらえたはずの給与を、まとめて先にもらっているだけのケースが多い
- 後述の試算では、割増1,500万円をもらって55歳で辞めても、60歳まで働いた場合より約283万円少なかった。しかも厚生年金の加入期間5年分は別に失う
- 逆転する条件はシンプルで、①割増額が大きい ②再就職後の年収の落ち込みが小さい ③辞めてやりたいことが決まっている、のどれか
- 割増退職金は退職所得控除の枠を超えた分だけ課税される。勤続年数が長いほど枠が大きく、税負担は思ったより軽いことが多い
- 人員整理目的の募集に応募した場合は会社都合扱いとなり、失業給付が最長330日。これは実質的な「もう一つの退職金」で、必ず計算に入れる
- 「辞めない」を選んだ人も、この機会に受け取り方と運用先だけは設計しておく。次の募集は数年以内にまた来る可能性がある
大事なのは、「応募=悪」でも「応募=チャンス」でもないということです。同じ制度でも、50代前半か後半か、住宅ローンが残っているか、子どもの学費がこれからか、次の当てがあるかで答えは180度変わります。だから金額を並べて自分の条件に当てはめる作業が必要になるのです。
なぜ今、50代に早期退職の案内が回ってくるのか
まず「なぜ自分の年代なのか」を理解しておくと、案内文の読み方が変わります。
2025年の募集は1万7,875人。リーマン以降で3番目の高水準
東京商工リサーチの集計によれば、2025年に上場企業が募集した早期・希望退職は判明分で1万7,875人。リーマン・ショック以降で3番目に多い水準で、しかも赤字企業だけではなく業績が好調な企業まで実施する「黒字リストラ」が目立ちました。50歳以上を対象にした募集が加速しており、1社で1,000人を超える応募があった例もあります。同社は2026年にかけてさらに強まる可能性があると見ています。
会社が50代を対象にする3つの理由
- 人件費の圧縮効果が最も大きい。年功的な給与カーブの頂点にいる層を減らすと、削減額が大きくなる
- 年齢構成のいびつさを直したい。バブル期採用の層が厚く、若手が育ちにくいという構造課題を抱える企業が多い
- 事業ポートフォリオの転換。旧来事業の人員を減らしてデジタル・成長分野に振り向ける狙い。これは業績が良い会社でも起きる
つまり、案内が届いたことはあなたの評価が低いという意味ではありません。多くの募集は「50歳以上・勤続◯年以上」という機械的な線引きで対象者を決めています。ここを誤解して「必要とされていないのか」と受け取り、感情で応募してしまうのがいちばん危ういパターンです。

早見比較|応募する vs 定年まで働く
では、2つの選択肢を50代が実際に気にする判断軸で並べます。
※◎△は当ブログの相対評価です。割増額・退職金規定・失業給付の扱いは会社と離職理由により大きく異なります。
応募側が明確に勝つのは「まとまった現金」と「時間」
公平に見て、早期退職に応募することがはっきり有利な点は2つあります。ひとつは年収1〜2年分という、通常なら手に入らないまとまった現金。もうひとつが50代前半のうちに自由に動ける時間です。
特に後者は数字にしにくいぶん軽視されがちですが、55歳と60歳では、再就職市場でも起業でも選択肢の幅がかなり違います。「定年後に何かやろう」と思っている人にとって、5年前倒しできる価値は決して小さくありません。
定年まで側が勝つのは「積み上がるもの」
一方で会社に残る側の強みは、時間とともに自動的に積み上がるものです。給与、退職金の勤続年数加算、そして厚生年金の加入期間。この3つ目は特に見落とされます。厚生年金は加入期間と報酬額で将来の受給額が決まるため、5年早く辞めるとその5年分が将来の年金額から丸ごと抜け落ちます。しかも減った状態が、生涯にわたって毎年続きます。
55歳で応募 vs 60歳まで働く|累計手取りを試算した
言葉だけでは決められないので、実際に電卓を叩きます。55歳・勤続33年・年収700万円の会社員という設定で、60歳の時点で手元に入った累計額を比べてみましょう。
※金額はすべて仕組みを説明するための仮の試算です。実際の退職金・税額・失業給付は会社の規定、離職理由、他の所得により大きく変わります。社会保険料の増加分・厚生年金の減額分は未計上です。
割増1,500万円をもらっても、約283万円足りなかった
試算の結果は次のとおりです。
- 退職金(通常1,500万+割増1,500万=3,000万円)の税引後 … 約2,847万円
- 失業給付(会社都合・330日分の目安・非課税) … 約280万円
- 再就職後の手取り給与(年収400万円=手取り約310万円×4年) … 1,240万円
- 60歳時の退職金2,000万円(勤続38年なら控除2,060万円の枠内で非課税) … 2,000万円
- 55〜60歳の手取り給与(年530万円×5年) … 2,650万円
差額はB案が約283万円多いという結果になりました。しかもこれは厚生年金の加入5年分、健康保険の会社負担分、退職後に自分で払う国民年金保険料を一切計上していない状態です。それらを織り込めば差はさらに開きます。
では、どこで逆転するのか
ここからが本題です。この試算はあくまで一例で、前提を1つ変えるだけで結論は簡単にひっくり返ります。逆転する条件を整理しておきます。
- 再就職後の年収の落ち込みが小さい:上の試算で再就職年収が400万円→550万円になると、4年間で約110万円上乗せされ、差はほぼ埋まります。次の当てがある人ほど応募は有利
- 割増額が年収2年分以上ある:割増が1,500万円→2,000万円になれば、税引後でおよそ350万〜400万円の上積み。それだけで逆転します
- 定年後の再雇用で年収が大きく下がる会社にいる:60歳以降の再雇用で年収が半分以下になる制度なら、B案の「積み上がるもの」自体が細くなります

「割増退職金は給与の前借り」という見方
試算をこう読み替えることもできます。割増1,500万円は、55〜60歳の手取り給与2,650万円のうち一部を先にもらっただけ。だから割増額が「定年まで働いた場合に受け取るはずだった給与の残り」を上回らない限り、金額だけで見れば応募は不利になりやすい——これが構造です。
裏を返せば、その差額は「5年ぶんの自由な時間」に対して自分が払う値段とも言えます。283万円払ってでも5年早く動きたいか。ここは数字ではなく価値観の問題で、正解はありません。
割増退職金の税金|退職所得控除でどこまで守れるか
「3,000万円もらったら半分持っていかれるのでは」と心配される方が多いのですが、退職金の税制はかなり優遇されています。仕組みを押さえておきましょう。
退職所得の計算は3段階
- 退職所得控除を引く:勤続20年以下は「40万円×勤続年数」、20年超は「800万円+70万円×(勤続年数−20)」。1年未満の端数は切り上げ
- 残りを2分の1にする:(退職金−控除)÷2 が課税退職所得
- 他の所得と分離して課税:給与所得などと合算されないため、税率が跳ね上がらない
※勤続5年以下の役員等には2分の1の適用制限があります。詳細は国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」をご確認ください。
ポイントは割増退職金も通常の退職金と合算して、この計算式に入ることです。別枠で高い税率がかかるわけではありません。
※税額は他の所得・控除により変わります。実際の税務判断は必ず税務署または税理士にご確認ください。
勤続33年・3,000万円なら税負担は約153万円
図3のケースで実際に計算すると、こうなります。
勤続33年の退職所得控除は800万円+70万円×13年=1,710万円。3,000万円から1,710万円を引いた1,290万円を2分の1にして、課税退職所得は645万円。ここに所得税(復興特別所得税込み)と住民税10%がかかり、合計で約153万円。手取りはおよそ2,847万円です。
3,000万円に対して税負担は約5%。給与でこれだけ受け取った場合と比べると、圧倒的に軽い水準です。だからこそ「税金が怖いから応募しない」という判断はもったいない——判断すべきは税金ではなく、前章の総額のほうです。
iDeCoや企業型DCがある人は「受け取る順番」に注意
iDeCoや企業型DCを一時金で受け取る場合も、同じ退職所得控除を使います。会社の退職金と近い年に受け取ると控除枠が重複調整され、思ったより税金が増えることがあります。2026年1月からは、退職金を先に受け取ってからiDeCoを一時金で受け取る場合の調整期間が5年から10年に延長されました。早期退職で退職金を受け取る年が前倒しになる人は、この順番の設計を必ずやり直してください。詳しくは退職所得控除「5年ルール→10年ルール」改正で整理しています。
失業給付330日という「見えない退職金」
試算のA案に入れた280万円。ここは知らないと丸ごと取りこぼすので、独立した章にします。
人員整理目的の募集なら「会社都合」になる
自分から手を挙げるので自己都合になる、と思っている方が多いのですが、実務上はそうとは限りません。事業縮小や人員整理を目的として臨時に実施された希望退職の募集に応募した場合、離職理由は会社都合(特定受給資格者)として扱われるのが一般的です。この場合、給付制限がなく、待期7日のあとすぐ受給が始まり、給付日数も手厚くなります。
一方で、就業規則に常設されている「選択定年制」など恒常的な制度への応募は、自己都合とされることがあります。ここは会社ごとに扱いが違うため、応募前に人事へ「離職票の離職理由コードはどうなりますか」と確認するのがいちばん確実です。
45〜59歳・被保険者20年以上なら最長330日
- 45歳以上60歳未満 … 330日(最も手厚い区分)
- 60歳以上65歳未満 … 240日
- 参考:自己都合(20年以上)は150日
※基本手当日額には年齢区分ごとの上限があり、毎年8月1日に改定されます。45〜59歳では日額8,600円前後が目安ですが、最新額は必ずハローワークインターネットサービスでご確認ください。
330日は約11か月分。日額を8,500円と置けばおおよそ280万円で、これは非課税です。会社都合か自己都合かで、150日と330日、180日分=約150万円の差が生まれます。応募前に確認する価値は十分にあります。
なお2025年4月からは自己都合の給付制限が原則2か月から1か月に短縮され、離職前後に一定の教育訓練を受けた場合は給付制限そのものが解除される仕組みも整いました。自己都合扱いになる場合でも、以前より条件は改善しています。

見落とされがちな4つのコスト
ここまでは「入ってくるお金」の話でした。今度は辞めたことで新たに出ていくお金を並べます。試算に入れていなかった部分です。
① 社会保険料が全額自己負担になる
在職中の健康保険料・厚生年金保険料は会社と折半です。退職するとこの折半がなくなり、健康保険は任意継続か国民健康保険を自分で選び、保険料も原則全額自己負担になります。60歳未満なら国民年金保険料(2026年度で月17,000円前後)も自分で納める必要があります。年間で数十万円規模の新たな支出です。どちらの健康保険が有利かは退職後の健康保険どうする?任意継続 vs 国民健康保険 vs 扶養で比較しています。
② 退職翌年の住民税が重くのしかかる
住民税は前年の所得に対して翌年課税される後払い方式です。つまり退職して収入が減った翌年に、現役時代の高い所得に基づいた住民税の請求が来る。しかも給与天引き(特別徴収)から自分で払う普通徴収に切り替わるため、年4回まとめて請求されて驚くことになります。これは早期退職者がほぼ全員つまずくポイントです。「退職翌年の住民税」がヤバい?50代が知らないと焦る住民税ショックの正体で金額感まで整理しました。
③ 厚生年金が5年分減る
先ほど触れた点です。厚生年金の受給額は加入期間と平均報酬で決まるため、5年早く辞めればその分だけ将来の受給額が減ります。減った状態は生涯続くので、20年以上受け取ることを考えると累計の影響は決して小さくありません。自分のケースでいくら変わるかは50代のねんきん定期便の見方完全ガイドの手順で確認できます。制度の一次情報は日本年金機構の公式サイトが確実です。
④ 団体保険・社宅・持株会などの付帯メリットが消える
意外に効くのがここです。会社の団体扱いで安く入っていた生命保険・医療保険は、退職と同時に個人契約に切り替わって保険料が上がることがあります。社宅、住宅手当、社員食堂、持株会の奨励金、財形の補助——これらは給与明細に載らないため、辞めて初めて金額に気づくタイプのコストです。応募を検討するなら、一度すべて書き出してみてください。持株会がある方は50代の自社株持株会×新NISAで退職時の扱いも整理しています。

応募前チェックリストと、受け取った後の置き場所
締切までにこれだけは確認する7項目
- 割増退職金の正確な金額(税引前・税引後の両方。会社に試算を出してもらう)
- 離職票の離職理由(会社都合か自己都合か。失業給付が150日か330日かを分ける)
- 定年まで働いた場合の退職金見込額(勤続年数が伸びると通常退職金も増える。差額を必ず把握)
- 60歳以降の再雇用制度の条件(年収がいくらになるか。ここが低いなら応募が有利に傾く)
- 自分の市場価値(転職エージェントに登録し、実際の求人年収を見る。応募を決める前に)
- iDeCo・企業型DCの受け取り時期(退職金と重なると控除が調整される)
- 退職後1年間の固定費(住民税・国民健康保険・国民年金を月割りで出す)
特に5番は締切前にやってしまうことをおすすめします。応募を決めてから動くと「もう後がない」状態で交渉することになり、条件が悪くなりがちです。断る前提で市場価値だけ確かめる——これは在職中にしかできない、いちばん安全な行動です。
受け取った3,000万円を「とりあえず銀行」に置かない
そしてもう一つ、応募を選んだ人に必ず起きるのがまとまったお金の置き場所問題です。退職金が振り込まれた直後は、銀行や証券会社から「退職金専用プラン」の案内が集中します。金利優遇の裏で、手数料の高い投資信託や外貨建て保険とのセット販売になっている商品には注意が必要です。
- 生活防衛資金(2〜3年分):普通預金・個人向け国債など、すぐ動かせる形で確保。失業給付が切れた後の期間まで見て厚めに
- 数年内に使う資金:住宅ローンの一括返済、子の学費、リフォーム。ここは投資に回さない
- 10年以上使わない資金:新NISAの非課税枠を使って、時間を分散しながら投資へ
3つ目については、一括で入れるか積立で入れるかも含めて設計が要ります。当ブログでは新NISA 一括投資vs積立投資はどっちが得?と50代の退職金運用ロードマップで試算しています。制度の一次情報は金融庁のNISA特設ウェブサイトが確実です。
退職後もiDeCoは続けられる(2026年12月改正で70歳まで)
会社を辞めるとiDeCoも終わり、と思われがちですが、国民年金の被保険者であれば個人型として継続できます。さらに2026年12月の改正で加入可能年齢が70歳まで引き上げられる予定で、50代後半から始めても十分に意味がある制度に変わりました。掛金は全額所得控除になるため、再就職して所得がある期間は節税効果もそのまま使えます。
手数料が安く50代でも始めやすいのは松井証券のiDeCoあたりです。制度の変更点はiDeCo 2026年12月改正で何が変わる?にまとめました。
また、退職金を新NISAの成長投資枠で高配当株や増配株に振り向けたい方には、銘柄の業績・配当推移を無料でグラフ確認できる「銘柄スカウター」が使えるマネックス証券が向いています。証券会社ごとの違いはネット証券3社徹底比較で整理しています。
「そもそも定年前後にやるべきこと・やらなくていいことを整理したい」という方は、『定年前、しなくていい5つのこと』(大江英樹・光文社新書)のような一冊を手元に置いておくと、締切に追われる場面でも判断軸がぶれにくくなります。
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まとめ:3週間で決める前に、この5つだけは数字にする
- 判断を分けるのは割増額ではなく「次の年収」。市場価値を確かめてから決める順番が決定的に重要
- 試算では、割増1,500万円をもらって55歳で辞めても60歳まで働いた場合より約283万円少なかった。厚生年金5年分はこれとは別に失う
- 割増退職金も退職所得控除の対象。勤続33年・3,000万円なら税負担は約153万円(約5%)と、思ったより軽い
- 人員整理目的の募集なら会社都合扱いで失業給付が最長330日。自己都合の150日との差は約150万円。応募前に人事へ必ず確認
- 辞めた後に増えるコストは4つ:社会保険料の全額自己負担、退職翌年の住民税、厚生年金の減少、団体保険や社宅などの付帯メリット消滅
- 受け取った退職金は「生活防衛資金/数年内に使う分/10年使わない分」の3分割から。専用プランの勧誘に即答しない
早期退職の案内には必ず締切があります。会社は3週間で決めろと言ってきますが、その3週間でやるべきことは「決めること」ではなく「数字を揃えること」です。割増額、定年まで働いた場合の総額、失業給付、辞めた後の固定費、そして自分の市場価値。この5つが並べば、答えは自然に見えてきます。
そして、応募してもしなくても、まとまったお金をどこに置くかという課題は必ずやってきます。そこだけは今日からでも準備できる部分です。一緒にコツコツやっていきましょう!
※本記事は2026年7月時点の公開情報を基にした一般的な情報提供であり、特定の企業の制度・金融商品・サービスの利用や、早期退職への応募・非応募を推奨するものではありません。記事中の退職金額・給与・税額・失業給付額はすべて仕組みを説明するための仮の試算であり、実際の金額を示すものではありません。退職金規定・割増額・離職理由の判定・再雇用条件は会社ごとに大きく異なり、失業給付の所定給付日数や基本手当日額の上限、給付制限の取扱いは離職理由や年齢、被保険者期間、改定時期により変わります。税務の取扱い(退職所得控除・iDeCoとの調整)は個々の状況により判断が変わるため、必ず税務署または税理士等の専門家にご確認ください。投資信託・株式には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。最新かつ正確な情報は厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構・国税庁・金融庁等の一次情報でご確認のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。








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